働き方改革が世の中で話題になっています。電通の件以来、特に政府がその取り組みを強化したと思います。ただ今突然始まったわけではなく、企業としてはずっと取り組んでいたことであり、急に色々なことがあり注目されるようになり、長時間労働の是正ということで、法改正が早ければ2019年4月に実施されることになっています。すなわちこの2年弱の間に企業は法規制への対応を実施する必要があり、建設コンサルタント各社もその対応を進めている段階かと思います。
弊社も特に建設コンサルタント特有の長時間労働の是正に努めており、スライドに示すように、幾つかの施策を進めています。
このような取り組みが評価されたか否かわかりませんが、日経コンストラクション7.24号に弊社の取り組みの一部が紹介されました。
取材でお答えした内容は、取り組みの成果はまだまだですが、数字を見える化することにより、まずは社員一人一人の意識を高め、そしてそこに会社としての施策が加わることで、長時間労働を是正していこうという趣旨であります。いわゆる数値で見える化しようという取り組みで、社内で使用している実際のデータを公表させていただきました。この残業時間や一人当り出来高を多いとみるか、少ないとみるか、見た方々それぞれの評価によると思いますが、私としては、このようなデータは業界全体で共有することで、各社の取り組みが加速し、全体として建設コンサルタント技術者としての担い手の育成につながると思います。すなわち、技術者は会社に所属していますが、建設生産システム全体で見れば、日本国のインフラ技術者という考えです。
弊社として重視しているのは、時短と業績のバランスです。政府が取り組んでいる背景も、OECD諸国に比べて日本の労働者の労働生産性が低いという数値データが論拠の一つになっていますので、時短を進め生産量が比例して落ちるようでは意味がないからです。そのような状況はGDPを押し下げ、企業の売上や利益を押し下げ、結果として給与が下がってしまいます。これは政府が望んでいる状況ではないと思いますし、弊社の社員も望んでいないと思います。すなわち、売上や利益を落とさずに時短をする、すなわち労働生産性を向上させるといった、二律背反の状況への壮大な取り組みを実施している訳です。もっと言えば、働き方改革によって今より生産高を上げ、欧米諸国並みにする、ということでしょうか。
非常に難しいことに取り組んでいるのですが、大切なことは無理だとあきらめずに、取り組みを継続するということでしょうか。そのためには、まずは数値データで生産性を把握する必要があります。よく、夜20:00になったら会社の電源を落とすとか、パソコンの電源を入らないようにするといった取り組みをしている企業を聞きますが、私見ですが、本末転倒の取り組みだと思っています。単に強制的に労働時間を減らし、その強制的に減らされた制限の中で、あとは自助努力で生産高を確保せよ、と言われているに等しい感じがします(勿論、そういった企業は他の取り組みも併せて実施していると思いますが)。政府の法改正案も、一時的に最大月100時間まで認めていますので、単なる20時で帰る、とった働き方をイメージしているのではないことは明白です。
いずれにしても、次世代の担い手だけでなく、現在の社員の皆さんが活き活きと働ける環境にしていきたいと思います。それには単なる時短では、逆に皆さんのやりがいや達成感をそぐことになりかねない、といったことに留意しなければなりません(そういう私も仕事に没頭すると時間を忘れ、寝食を忘れ働いたことがありました。余暇は少ない時期でしたがその時があるから今の自分があると思っています)。一定程度の裁量と、そして何よりも大切なものは会社としてのサポート、そして先輩上司とのコミュニケーション、情報の共有スピードの向上(システムへのたゆまない投資)を同時に進めていくことだと思います。
ローマは一日にして成らず、NiXはNiX流の働き方改革に、一歩一歩取り組んでいきたいと思います。
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