もうずいぶん日が経ちましたが、富山県技術士会総会が開催されました。
記念講演会にて中野剛志氏に講演をいただきました。「公共投資で経済成長」なる非常に濃いテーマで・・・・・。中野さん、ありがとうございました。
中野剛志氏のことはご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、経済産業省のキャリアの方です。
東大から経産省へ入省し、その後エジンバラ大学へ留学し、博士号を取得、その後京都大学へ出向し現在経産省へ戻っておられます。
京都大学では筆者の同級生である藤井聡教授の研究室に准教授として在籍されていましたので、必然的に筆者と親交が深まったということです。
中野氏を一躍有名にしたのは京都大学在籍中に出版した「TPP亡国論」がベストセラーになったことであり、さらにフジテレビの小倉さんの「特ダネ」に生出演した際、放送事故寸前(放送事故だったとも言いますが・・・)のやり取りが彼をさらに有名にしました。
さて、今回の技術士会ではかねてからの筆者の希望であった「公共投資で経済成長」というお話をしていただきました。資料は見にくいですが下記サイトをご覧ください。
http://www.gijyutu.info/petoyama/120721H3.pdf
趣旨としては
・1990年以降、世界の中で日本だけが経済成長が停滞しており、その原因はデフレであること
・戦後デフレに陥ったのは世界の中で日本が初めてであったこと
・経済学者、政府も含めて戦後初めて経験するデフレに対して対処法を知らなかったこと
・そのためデフレ期にも関わらず、インフレ期に実施する政策(歳出カット、増税、行政改革・民営化、小さな政府、金融引き締め、規制緩和、競争促進、労働市場の自由化、地方分権、グローバル化)をひたすら実施し、さらなるデフレの悪化と長期化をもたらしていること
・その中で、公共投資はインフレ期には抑制し、デフレ期には増やさなければならないところ、全く真逆の政策を実施しており、さらなるデフレを招いていること
・他の先進国と比較しても、日本だけが公共投資を削減し続けていること
・TPPにみられるグローバル化はデフレ圧力を発生させること
・国債発行による財政破綻はあり得ないと財務省はわかっているのに増税のためにマスコミを利用して危機感をあおっていること
・アルゼンチンやロシアは政府債務がGDPの50%でも破綻したが、日本は200%近くになっても破綻していないということは、マスコミや経済学者の言う債務のGDP比率は破綻の指標にはまったくならないということ
・仮に日本が財政危機であれば、ギリシャのように長期金利は上昇し、通貨は暴落するはずであるが、90年代後半以降長期金利は世界最低水準で安定的に推移し、通貨は暴落どころかむしろ円高になっていることは、財政危機などは政府やマスコミが誘導している単なるデマにすぎないことを示す、経済指標であること
・日本国債はすべて自国通貨建てであり、デフォルトはあり得ないこと、さらには日本は経常収支黒字国であり、国債を発行しても償還金は国内で還流し富は流出しない
・今必要なのは、緊縮財政・金融引き締めから積極財政・金融緩和への政策レジームの大転換であること
正確には伝えきれませんが、講演の要旨はこのようなものでした。筆者は耳にタコができるほど聞き込んできていますので、今更めずらしい話ではありませんが、日ごろ日経新聞やニュースステーションなどに騙され続けている受講者の技術士の皆様には、相当新鮮な目の覚める内容であったようです。
ほとんどの方が中野さんのお考えを支持され、講演会は大変盛り上がりました(当たり前ですが・・・)。
これが全国放送されると世論は一瞬で変わると思いますが、そこができないのが現在の日本の闇、病魔でしょう・・・・・・。
さて最後にスライドを一枚ご紹介。アメリカの大恐慌を大胆な政策転換によって救った銀行家であり、のちにFRB議長を務めるエクルズの言葉だそうです。
彼が進言したニューディール政策により、アメリカ経済はデフレから脱却していくのです。
見にくいので転記しますと、
敵国との戦争から人命を守るために使われるのと同じ政府債務が、平時においては、失意と絶望から人命を守るためにも使われるのである。
戦争を戦うための政府の能力には制限がないのと同様に、恐慌と戦う政府の能力にも制限はない。
両方とも、人的資源と物質的資源、頭脳そして勇気のみにかかっている。
すなわち、戦争時、国債を発行してでも軍備を増強し、国民を守るために戦う(結果、好景気になりますが)のに、デフレにより自殺者が増えている、もしくは自国民の富が毀損されているのも関わらず、なぜ戦争時と同じように、財政支出しないのか?その勇気はないのか?
と言っているのです。
現政権の方、特に財務省の忠犬ハチ公と化している野田総理のはエクルズのような「勇気」は全く期待できないでしょう。
彼のDNAに富山県人が含まれていることを、同じ県民として真に残念に思うのは私だけでしょうか・・・・・。
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