毎年恒例のテクニカルレポートが本年度もそろそろ発刊されます。おかげさまで今年で4年目になります。まだまだ構成編集中ですが、今回も藤井聡先生には寄稿していただきました。
題して「強靭化こそが、最大の成長戦略である」。すばらしい内容なので、発刊をお楽しみに。
さて、まえがき等にも少し書きましたが、弊社のテクニカルレポートは読む方に対しある程度弊社の主張を織り込んでいます。主張というか「思想」というか、弊社というか「私」というか・・・笑。我々業界は一般職種に比べると小さな業界です。売上も材料や物を扱わないことから小さ目です。いつぞや書きましたが、企業の売上は世の中への影響力です。売上が大きい業界や企業ほど世の中に対し、世論に対し、政治に対し影響力を持ちます。我々コンサルタント業界はそういう意味では小さな影響力しか持ち合わせていない業界かもしれません。
であるからこそ、このような発刊物をせっかくお金をかけて出版するのですから、少しでも世の中への影響力を高めるために、発信していこうと考えています。今はとっても小さな言論力ですが、それでも4年間続けています。藤井先生も4年間欠かさず寄稿していただいています。内閣官房参与のお立場になった本年も変わらずに寄稿していただきました。NIXテクニカルレポートはそんなささやかな世論に対する抵抗誌、自己満足誌?笑、であったりするわけです。もちろん技術的な内容がほとんどですが・・・。
さて、発刊までもうしばらくお待ちください。以下に私の今回の「まえがき」のみご紹介させていただきます。よろしければお読みください。
–2013まえがき「公共事業に対する世論は変わるのか」—
昨年の弊社テクニカルレポートNo.3は当然のことながら、政権交代前の発刊でした。「公共事業の環境変化と技術者の基本精神」と題して、民主党政権下ながら藤井聡先生をはじめとした言論人の方々のご活躍、そして当時野党であった自民党の国土強靱化施策等で情勢が変わりつつある公共事業の環境と、不況を耐え抜いた我々バブル崩壊以降入社の建設コンサルタント技術者が初めて経験する拡大マーケットが来るかもしれない、といったことを記述させていただきましたが、まさに現実になりました。自民党は国土強靱化を掲げ与党に返り咲き、なんと藤井先生は内閣官房参与にご就任されました。そして24年度大型補正予算が編成され、先の報道によれば25年度の政府系建設投資は前年対比11.2%程度の伸びになるようです。まさに我々世代が初めて経験するマーケット拡大の時が到来したのであり、これまで努力していただいた藤井聡先生を始めとした言論人の皆様、そして自民党の積極財政派の代議士の皆様にあらためて敬意を表します。
ただこれで終わりではありません。デフレ脱却に向けた積極財政政策は始まったばかりであり、継続しなければ意味がないのです。国土強靱化基本法の当初の基本方針は10年で200兆円の追加公共投資です。そうすることで、国債発行額の伸びを上回るGDPの伸びや税収の伸びが達成され、国債残高の対GDPが低減し、デフレ脱却だけでなく日本が内需主導で力強く成長していけるのです。
一方で最近のマスコミ報道を見てみると、金融緩和による株高・円安により経済が回復軌道に乗ったとのことで、積極財政なぞはさておいて次は政府収支のプライマリーバランス達成のために緊縮財政だ、国土強靱化は公共事業バラマキツールだ、首都機能の分散化などは地方に公共事業費をつけるためのいい訳だ、などの言論が日に日に目立ってきています。さらには景気指標の回復は円安の影響による企業業績回復が寄与したとの報道ばかりで、公共事業による内需拡大効果の寄与に関してはほとんど報道されません。意図的なものを感じるのは私だけでしょうか。残念ながらこのような世論には私どもはほぼ無力です。ただ我々業界は再び公共事業暗黒の時代に戻ることの無いように、さらなる技術の研鑽を積み公共事業の迅速かつ効率的な執行に貢献していく、その中で業界として言えることは堂々と世の中に発信していく、といったことが大切であると考えています。本テクニカルレポートも、そのささやかな言論発信の一部のつもりであります。
さて、NiXテクニカルレポートも今回で4年目(4冊目)となります。我々の「技術の研鑽」の集大成であり、4冊目を発刊できることに際し、お世話になっている発注者の皆様にはあらためて御礼申し上げます。本書の技術報告も、皆様からいただいたお仕事の中で得られた経験でありますので、微力ながら、技術的なご報告をさせていただくことで、機会を与えていただいた恩返しの一部になればと思います。「公共投資に創造力」を社是に、これからも皆様のお役に立てるよう努力いたします。今後ともご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
平成25年8月
NiX JAPAN(株) 代表取締役社長 市森 友明
NiX JAPAN 株式会社 | NiX 管理本部 経営企画管理グループ
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