2014年が始まって一か月以上経過しました。新年の挨拶まわりに始まり、26年度事業計画の策定や新卒採用活動、高校での授業やたまにテレビ出演などもあったり、あっという間の一か月でした。その間、我々のビジネスに関する社会情勢も色々と動きがあり、26年度公共事業費が何年かぶりに当初予算ベースで前年度を上回ったり、国土強靭化基本法が成立し、国が基本計画を策定後、自治体は地域計画の策定を行うことになっています。また国がインフラ長寿命化基本計画を策定し、自治体は行動計画と個別計画を策定することが決まるなど、公共事業を取り巻く環境も相当に変化が表れてきています。
特に当初予算での前年度比での増額は、その額は非常に少額であるため建設業界への直接的な影響は限られるとは思いますが、当初予算が下げ止まり、今後この一定額を確保していく、もしくはもう少し増額していくといった中長期の業界に対するメッセージ性としてはかなりのインパクトがあるのではないかと個人的には思っています。インパクトとはすなわち将来への投資です。ある程度の予算が確保される見通しを踏まえて、人材や設備に投資していこうという、ある意味資本主義社会の営利企業では当たり前の経営行動が施されるということです(そう思えるか、思えないか、これは経営者で大きく違うと思いますが・・・)。建設コンサルタントをはじめ、建設業界は長らく不況に耐え忍び、人材や設備への投資を控えてきましたが、少し風向きやマインドが変わる可能性があるということです。逆に言えば、今までの投資できない期間というものは、資本主義社会では無かったといえるかもしれません。ようやく正常な資本主義社会の経済が戻ってくる可能性が出てきたということです。
さてそんな中、1月に(財)建設経済研究所の「建設経済モデルによる建設投資の見通し」の最新版が発表されました。10月発表からの修正ですが、予想通り2013年度の政府系建設投資の翌年度への繰り越しがあり、2013、2014年度と10月発表に比べて平準化されることになっています。結果として2013年度政府系建設投資は20.54兆円で15.3%増、2014年度は19.82兆円で3.5%減となっています。これらの数値は今後また改定されていくとは思いますが、少なくとも2014年度の公共事業全体の大きな落ち込みはなさそうです。民主党政権が誕生するころから比べると、全く様変わりしています。人間良い時が来ると、すぐに悪い時を忘れてしまいますが、そうならないようにしたいものです。
さて、この2014年度の19.82兆円という数字ですが、昭和55年~60年ぐらいにかけての水準です。この頃のGDPは多分現在の約半分の250兆円位ですので、日本国の経済が現在よりも半分の状況での公共事業費と同額だということです。その頃の公共事業費は確かに対GDP比で高すぎるとの批判を浴びていたとは思いますが、国の経済力が2倍になったことを考えると、現在の20兆円という政府系建設投資の水準はGDP比で4%ということもあり、極めて適切な水準、もしくは多すぎるとは言えない水準ではないかと思います。私的な予想ですが、今後10年間はこの18~20兆円の水準を維持していくのではないかと思っています。
このような状況の中で、建設関連企業はどのような企業戦略をとっていくのでしょうか。現状維持であるのか、伸びる分野に投資していくのか、もしくは生産力を徐々に縮小させてソフトランディングを図るのか、その戦略は各社それぞれだと思います。マーケットの見通しも各社それぞれでしょう。建設コンサルタント各社の本年度の業績は、間違いなく前年度対比で伸びています。この伸びを一過性と捉えるか、将来に渡って成長するチャンスと捉えるか、この捉え方で経営戦略はずいぶん変わってくるのでしょう。私が見る限り、大手企業はかなり積極的な成長戦略をとっており、中堅企業以下はかなり保守的な戦略をとっているように見えます。この戦略はどちらかが正解で、どちらがが間違いであるといった単純なものではありませんが、5年後位にコンサルタント業界も、現状よりより差別化がされているような気がします。
我々NiXはどのような戦略をとっていくのか、一つの成長ステージが終了した次のステージに向けて。2014年度に向けた戦いは既に始まっていますが、経営マインドだけはやや上向きでいきたいと思っています。
NiX JAPAN 株式会社 | NiX 管理本部 経営企画管理グループ
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