恒例の全国小水力サミットが鹿児島で開催されました。私は富山県小水力利用推進協議会の副会長を務めていることから、義務出席?です。
さて、今回も全国から多くの小水力関係者が集まっていました。年々小水力の機運が高まっていることがわかります。このような関係者からの情報は意外と貴重でありまして、やはりいろいろなところに顔を出して情報交換することは必要なんだなとあらためて感じる次第です。
大会は記念式典から始まり、基調講演、そして事例報告です。私は基調講演はあまり興味がないタイプですので、大会式典を出席後、基調講演までの時間はおつきあいのある鹿児島の大福コンサルタントさんに表敬訪問をし、その後事例報告から再度会場入りです。大福コンサルタントさんでは福田社長以下、幹部社員の皆様が集まられ、表敬訪問のはずが突然の「ミニ講演会と」なってしまいました、笑。何も準備していなかったもので、お役に立てたでしょうか?福田社長、いろいろとありがとうございました。
私の認識不足もありますが、鹿児島はかなり水力発電所が多く、意外でした。これは霧島などの火山により急峻な地形が形成されていることと、南国の気候によりそれなりに降水量があることに起因していると考えられます。そして小水力開発も民間主導で盛んにおこなわれています。この事実は意外でした。特に下の写真にある九州発電が開発している重久発電所は出力(980kw)と導水管延長(約1km)が、弊社が事業計画中の湯谷川小水力計画とスペックが似通っており、大変参考になる事例でした。九州発電の川畑課長様、いろいろと情報をありがとうございました。
また一度行ってみたかった天下の日本工営さんが建設運営を手掛ける新曽木発電所ですが、とても雄大なロケーションに観光資源の一つとして発電所を位置づけられており、我々が見学に行ったときには地元のテレビ局の取材や、伊佐市の市役所職員が駆けつけるなど、民間の発電所であるにもかかわらず、行政側が積極的に協力している様がうかがえました。このような連携は我々が実施しようとしている平沢川や湯谷川、そして八尾のメガソーラーでも必要な取組であると思われます。さすがは天下の日本工営、そのあたりの人脈や行政側に対するプレゼンスが高い企業であると感じました。見習うところは多いようです。日本工営電力事業部の小宮様、ありがとうございました。
さて、肝心な大会の分科会ですが、「小水力とファイナンス」という題材のものを拝聴しました。コーディネーターの方が日本政策投資銀行の環境・CSR部長の竹ケ原様であり、私との日本政策投資銀行の共通の知人も数名おり、いろいろお話を聞くことができました。
やはり小水力の案件は事例が少ないこともあり、金融機関としてリスクをどのように見積もるか悩ましいとのことでした。これは我々もそうであり、全国共通の課題であると感じました。
元来この小水力にかかわる方々、特にこのサミットに集まる方々は小水力への思いが高い方々が集まっています。そして自らが関係者もしくは事業主体になって小水力発電所を建設しようとしています。そのためにわざわざ鹿児島まで来て、このような話を聞くわけです。これが原子力発電所や火力発電所ならばこのような個人や団体がそのようなことをしようとは思わないでしょう。小水力の「小」の部分や、数キロワット程度のこじんまりとした設備のイメージから、そのような期待を抱かせるのでしょう。あと地域貢献やエネルギーの地産地消などのキーワードも聞こえが良いのかもしれません。そしてノウハウもお金もあまりないのだけれども、思いは強い、だから何とかならないのか、水は豊富に流れているし、これを有効活用しない手はない、ということですが、世の中そんなに甘くはありません。今回の鹿児島の事例は九州発電が980kwで事業費12億、日本工営が490kwで事業費6億くらいでしょうか。そのような金額がかかる事業を団体や個人がお金やノウハウもないのにどうやって実施するのでしょうか。案の定、この「ファイナンス」の分科会でも、公聴者から自治体がもっと協力しないととか、国ぐるみで流量データを整備し小水力の事業者をサポートするべきだという意見がありました。お気持ちはわかりますが、そのようなことを行政がボランティアで実施していたらきりがありません。また地銀は地域貢献度合いも含めて地域の小水力には積極的に融資するべきだという意見もありますが、地銀はあくまで銀行ですので、しっかりとしたリスク査定がない限りは融資できません(さもないと不正融資になってしまいます、笑)。また調査・計画・設計に対するフィーについてもこのような方々は過小評価します。調査にお金をかけたくないのです。実はこの部分(弊社のビジネスの一部ですが)にしっかりとお金をかけないと、融資を得れるような計画になりませんし、また後々大変な損害を被ることにもなりかねません。実際に九州発電は調査・設計費に0.6億円かけていました。さすが立派です。であるからこそ事業が進んでいるのでしょう。このあたりのご認識を関係者の皆様にはご理解いただきたいと思います。「思い」だけではなく、「お金」も事業には必要なのです。これが現実です。であるからこそ、弊社は自ら資金を調達し電力事業に取り組んでいるのです。
来年は長野県で開催されるようです。来年の大会には、弊社は事例発表し、そのような小水力の現実を「思い」を持っている皆様にご披露できるよう努力したいと思います。そのためにも現在進めているプロジェクトをしっかりと完成させたいと思いますが、どうなるでしょうか・・・・。
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