Engineer's Voice vol.01

とやまレールライフ・プロジェクト クルマと公共交通を”かしこく使う”人を増やしたい。

「住みたくなるまちづくり」を支援していきたい。

とやまレールライフ・プロジェクトとはどのような取り組み?

とやまレールライフ・プロジェクトでは大きく4つの取り組みが行われました。

1つはラジオによる公共交通利用促進啓発の取り組みです。
京都大学の藤井教授と富山の代表ミュージシャンによって、バライティ色を強調したトーク形式での公共交通利用促進を呼びかける番組を制作、放送しました。
2つ目は電車・バス沿線居住者対象とした、動機付け情報の提供とアンケートをセットにした公共交通利用の促進の取り組みです。
3つ目はフォーラムの開催です。藤井教授の公演やラジオ番組の番外編、森市長を交えた公共交通に関する討論などの内容で、富山国際会議場大ホールで開催しました。
4つ目は、ホームページ開設による情報発信です。ラジオ番組の聴取やクルマと公共交通に関するデータの発信などを行いました。

発注者立場における課題解決

弊社ではこれら4つの取り組みの企画・支援とともに、プロジェクト名やロゴマークの検討を行う形でプロジェクトに携わらせていただきました。
携わった当初はライトレールや市内電車環状線(セントラム)などの公共交通の質が向上したとは言え、未だ車依存が強い土地柄において、公共交通利用促進の効果が出るのか、非常に不安でした。
しかしながらプロジェクトの効果として、アンケートなどの推計から、ラジオ番組やアンケートなどでコミュニケーションができた人については、公共交通利用の機会が1.5倍~1.7倍に増加した効果が見られたことは喜ばしいことでした。

またアンケートについては、郵送で行ったにもかかわらず、50%を超える返信率があり、反響の高さが見られたことなどが非常に大きな印象として残りました。返信率が高かったために集計作業が追いつかなくなった苦労もありましたが・・
2013年度も引き続き、プロジェクトが継続され、支援させてもらえることとなったことには喜びを感じております。

富山市の公共交通に向けた想い

近年富山市はライトレールや市内電車環状線の開業、JR高山本線の増発実験など、公共交通の質の向上を積極的に実施されており、全国からも注目されていますが、その公共交通の質の高さについて市民の皆さんが実感されるまでに至っていないように感じます。

それを少しでも実感してもらう仕掛けを行っているのが、「とやまレールライフ・プロジェクト」です。 向上した公共交通の質を今後も持続・発展していくためには多くの市民の方に利用していだくことが重要で、公共交通の利用回数を少しでも増やしてもらえるよう取り組んでいきたい。このようなことを言っている本人は通勤や休日においてはクルマを多く利用しています。 クルマの便利さが非常に分かる分、クルマに負けない公共交通の良さも呼びかけられると思っています。 「とやまレールライフ・プロジェクト」に携わって以来、時々電車通勤や電車を使った旅行などをするようにもなりました。

クルマを手放すことは現実的に難しいと思いますが、クルマと公共交通をバランスよく、かしこく使うことを少しずつでも広げていきたいと思います。

Engineer's Voice
大門 健一

都市や地域の将来像(構想)などについて検討するまちづくり計画や、公共交通や道路交通などの交通計画、様々な環境問題等への対応、取り組みについて考える環境計画など、主に調査・計画の業務を担当。 昭和46年 富山県高岡市出身 大阪大学工学部環境工学科卒業